ぼっち・ざ・ろっくを見て思う、後藤ひとりについて

ぼっち・ざ・ろっく!、いいアニメでしたねえ!

2022年秋アニメダークホースと呼ばれただけあって、ぼっち・ざ・ろっくを知ったのが8話くらいだったけれども、Amazon Primeで追いかけることもできて、ニコニコ生放送で振り返り配信もやってくれたのでリアルタイムで追いかけることができた。すっかりぼっち・ざ・ろっくにハマってしまい、2期はまだか、と言われるようになったが本当にそのとおりだ。

www.amazon.co.jp

後藤ひとりに思うこと

後藤ひとりはぼっち・ざ・ろっくの主人公で、自称「陰キャ」のギタリストである。けいおん!とはチョット違うのが、けいおん!が軽音楽部でふわふわタイムしてたのに対して、「ガチ」なところがあるところだろう。作中でも文化祭で軽音楽部が「やっぱり俺らとは違う」などと言ってた事があったような気がするので、本気でやってるのが伝わってくる。

しかし、彼女は陰キャというよりは、社会不適合者といったほうが差し支えない。最早病気とも言えるほど社会に怯えており、高校を中退したいだとか、普段は学校指定でもないジャージを着てるあたりかなりの重症だと思う。そういえばぼくも学校指定でもないジャージを着ていたし。精神科に行ったらなにかの病気だと診断されそうだと素人ながらに思う。

学校指定でもないジャージ

さて、なぜ彼女は学校指定でもないジャージを着ているのだろうか。おそらくそれは「着慣れているのがこれしかない」という言葉に尽きるのではないだろうか。踊る大捜査線織田裕二演じる青島が緑のでかいコートを着ていたり、相棒の寺脇康文演じる亀山がジャケットを着てたりするのとはわけが違う。彼らはそれを自分が似合っていると思って着込んでいるが、後藤ひとりはジャージ姿の自分を似合ってないと思っている。似合っていないが、着慣れていて、自分が一番妥協できる姿がこれというだけなのである。

後藤ひとりは社会に怯えていて、誰かに変な目で見られているのではないかと怯えていて、そんな自分がおしゃれなんかしたら馬鹿にされると思っているように思う。とにかく外が怖くて、学校に行くのですら恐ろしい、自分は本当に居てはいけない人間なのだと思っているとぼくは考えている。

「穴があったら入りたい」を実現している後藤ひとり

後藤ひとりがゴミ箱に入っているときが度々ある。しかし、本当は世の中には穴があったら入りたいと思っている人はシャレにならないけど多分いる。姿かたちを変えて居たいと思う人も多分いて、後藤ひとりは漫画やアニメにおいて極度の緊張でそれを実現している彼女が羨ましいと思う。それくらいには穴があったら入りたいと思う人がいるのだ。

しかし、現実にそれをやる人がどれくらいいるかというとそんなに居ない。せいぜい固まっていることのほうが多い。固まるしかできないのが現実の辛いところだ。そういうところで後藤ひとりが羨ましいと思った。

後藤ひとりの考える「最悪のシナリオ」の若さ

後藤ひとりが考える最悪のシナリオは、「会社に新卒で入ったはいいものの、ところてんの飛び込み営業をさせられ、辞めさせられて、妹のふたりのほうが先に結婚してしまい、自分は酒に溺れながら親は「もう働けなんて言わないから、ご飯一緒に食べよう?」と言われ、結束バンド時代のことを思い出し、涙する」というものである。引きこもりになるということが彼女の考えうる最悪のシナリオだ。

しかし、もっと悪いと、親の夫婦仲が悪く、実家は家族ごとなくなり、一人で生きていくしかなくなり、いざ親に会ったら金を無心してくるというシナリオすらありえる。ひきこもりにすらなれないのが現実の辛いところだ。こう書いているぼくも、インターネットで駄文を残せるくらいにはまだ幸福なほうで、家を家賃が払えなくて追い出され、ホームレスになってしまうとか、生活保護を受けようとしたら水際対策で追い出されて申請できなかったから死ぬしか無いというシナリオすらありえるだろう。

幸いにして、後藤ひとりは原作によると母親が父親に「バンドを辞めないと別れる」と言って父親は就職したようだが、母親は父親のギターは処分していない。変な母親だと、父親の趣味のものを処分したりするのだが、そこまではしていなかったし、夫婦仲は健全だ。その意味ですごい幸せな環境にある。

まとめると、実家があり、親の夫婦仲がよいだけ幸せなのである。

まとめ

  • 後藤ひとりのジャージ姿は自身でも納得していない
  • 後藤ひとりのように姿かたちを変えられるようになれたらいいのにと思う社会不適合者はいる
  • 後藤ひとりは実家があるだけまだ絶望するほどじゃない

どうしてこんなエントリができたのかというと、やはりぼくも社会不適合者であり、10代のころには彼女と同じように社会に怯えていて引きこもったことがあるからだ。